危険は、音も無く忍び寄る。
これまで幾度となく同学たちの安全を脅かしてきたのが、南京の街を絶えず往来する电动车であった。 大学の周辺には、車一台がやっと通れる幅の路地も少なくないが、摩托车に比べて車体が一回り小さいこの電動二輪車にとって、歩行者と自動車の間は50センチもあれば十分らしい。駆動音の小さい「奴ら」が背後から飛び込んでくるのを認識する術は、接触直前に鳴らされるクラクションをおいて他に無い。
今日は8月23日。南京に来て20日目ともなれば、最早慣れたものだ。今やクラクションを鳴らされても、後ろを振り向きすらしなくなった。避ける必要はない。「今から横を通るぞ」という合図に過ぎないのだから。続きを読む »