2016年8月8日 思い出の人民元

歓迎会
午前中に組分けテストが行われ、昼食は南京大学側による歓迎会だった。
噂には聞いていたが、とにかくその量と豪華さに圧倒された。

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次から次へと料理が運ばれてくる。食べるのが追い付かないのだが、ウエイターは皿を互いに重ね合わせながら、どうにかこうにか次々置いていくのだった。

市内に繰り出す
食後、南京大学の学生が市内を案内してくれた。

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炎天下を歩く学生たち(写真右端)。写真中央の道は歩行者も原付も電動自転車も通るため、気を付けていないと、静かだがスピードの出る電動自転車などにぶつかりそうになってしまう。恐る恐る道を渡りながら、僕たちは両替のため銀行を目指して歩いて行った。

銀行にて
銀行で何人かの学生が日本円を両替している間、僕は店員に東京で親からもらっていた20年前の人民元を見せ、今でも使えるかどうかを確認してみることにした。実は、出発前に両親から、20年前の中国観光旅行で余った人民元をもらっていたのだ。

五元札、一元札、一角札などを持っていたのだが、五元札、一元札は新札に変わっており、一角札も硬貨に変わっているらしく、今では使えないそうだ。(後で確認してみたところ、僕の持っていた第四版の紙幣は現在でもどれも有効らしいが、店によって受け取ってもらえない場合があるようだ。)そこで、現在流通している第五版のものと交換してもらうことにした。そこにいた二人の店員のうち、年若の一人が新札を取りに店の奥に入っていったのだが、年配のもう一人はまじまじと旧札を眺め、ポケットから新札を取り出し僕に渡そうとした。窓口を通さないで交換していいのだろうかと不安に思い、彼から直接受け取るのを躊躇していると、ちょうど若い店員が新札を手に戻ってきた。結局、若い店員の新札を受け取ったのだが、年配の店員はしばらく名残惜しそうに旧札を眺めていた。若い店員が旧札を店の奥へ持って行こうとしたとき、年配の店員は彼の手から素早く旧一元札を奪い、自分の新一元札と交換した。お金としては使い勝手が悪いが、当時を思い出させるものとして持っておきたいと思ったのだろう。旧一元札を手にした彼の満足げな笑みが印象的だった。

現行の一元札、五元札が発行され始めたのはそれぞれ2004年と2002年だ。まだ十数年しか経っていないが、街中で旧札を見つけるのはとても珍しいことのようだ。日本でも、現行の紙幣はどれも2000年代に入ってから発行が始まったが、今では旧札を目にすることは稀である。なにも中国に限った話ではないのだが、中国に来て普段手にしない紙幣を使い始め、紙幣の価値や流通に意識的になったことを通し、20年ほどで「思いでモノ」になってしまう紙幣のはかなさや、時代が移り変わるスピードの速さについて改めて考えさせられた。

(M.R.)

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